1年ぶりの再会
小西の家の庭には、珍しいものがたくさん埋まってます。今回「そろそろいいべな」と掘り出したものがこれ。クマのプーさんの、おじいちゃんの頭蓋骨です。このおじいちゃんは去年の8月、市内の某公園周辺に出没し、付近の住民を怖がらせた悪いやつです。有害駆除に出動した仲間の猟友会員の80歳のじっちゃんが至近距離から1発で仕留めました。
一応、小西も猟友会の有害駆除要員。知らせを受け、小西が駆けつけた時はほぼ解体も終わり、内臓その他を埋めようとしていました。重さは90キロ近くだったというから、かなりの大物です(実際に計りに掛けたわけではないようだ。あくまで2、3人で3持ち上げての推定。このような場合、実際よりかなり多め)。夏場なので脂はなし。歯を見るとかなり高齢のクマであることが分かりました。ところで、プーさんのおじいちゃん、クソ暑い夏に何を食べていたかとの胃の中を調べたら、白いアリの幼虫がびっしりと入っていました。小型のバックホーで穴を掘り、毛皮も一緒に埋めようとした直前、「ちょっと待った」と小西は叫びました。
「なんで頭も手足も捨てるのよ。捨てるんだったら俺が持って行く」。本来だったら内臓もきれいに洗い、参加者員で分けるものですが、当日は猛暑。そこまでのエネルギーは残っていなかったのでしょう。血まみれのクマの頭と両手両足、レバーを車に積んだ小西はそのまま自宅に帰り、当然ながら「そんなもの持ってきてどうするのよ」と奥さんに叱られました。両手両足とレバーは、とりあえず冷凍庫へ直行。手足は暇になったら爪を抜いて携帯のストラップにして、飲み屋のおねえちゃんへプレゼントしようと考えていたからです。ちなみにクマの手の平は中国料理では高級食材となっているようですが、以前、小西が食べた時の感想は「豚足とかわらん」でした。頭は目の細かいネットに入れて、庭の某所に埋葬。手を合わせて、クマの浄土への旅立ちを祈りました。
そして数日前、「そろそろ、いい頃だな」と掘り起こして水でざっと洗って乾かしたのが、写真の頭蓋骨です。
地中の虫なのか微生物のお陰なのかよく分かりませんが、肉はきれいになくなり、表面には毛だけがびっしりこびり付いていました。毛を食べる虫さんはいなかったのでしょう。毛を落とし、水洗いしていると、細かい歯がポロポロと抜けてきます。歯を支えていた歯肉もきれいになくなっているからです。 慎重に作業したつもりですが、結局、小さい歯5本が行方不明。毛に混ざってしまったのかも知れません。次回に続く