底引き漁船
先日、仕事半分、遊び半分で底引き漁船に乗ってきました。県内の某漁港から出港したのは午前3時。漁場に到着するまでは船室で他の漁師さんと一緒に仮眠をとります。
前日までのシケで沖はけっこう大きなうねりがありましたが、ワタクシの場合は船酔いの心配はなし。どうも三半規管が狂っているようなので酔わないのです。午前6時、漁場に到着。漁師さんは船室を飛び出して行きましたが小西はそのまま仮眠。なんたってワタクシはお客様待遇なのです。
最初の網が揚がったところでカッパを着込んで甲板に上がって魚のチェック。タラ、ズワイガニ、アマエビなど、美味しそうな魚がそこそこ。海上が明るくなってきたところでカメラを取り出し、撮影開始。素手でシャッターを押すので指があー冷たい。こりゃやってられないと、数枚撮ったところで午前中の仕事は止め。再び船室に戻ってガスストーブでヌクヌク。体が温まったところで、今度はブリッジに上がり、船頭とあれこれお話。そのうち、「小西さん、朝飯できました」と若い漁師が声をかけてくれました。
ご飯に味噌汁。味噌汁の具はガサエビでした。このエビはアマエビより色は悪いものの、味は数段上。2人の漁師はほとんどガサエビには手を付けず。「小西さん、エビ捨てるのもなんだがら、全部食って下さい」と若い漁師。ワタクシは一人船室に残り、ガサエビを食べ続けたのでありました。
食後、やることがないので再び甲板に上がり、少々お手伝い。魚を選別するのです。選別しながらアマエビの殻を剥いて口の中にポイ。何度も書いたと思いますが新鮮過ぎるアマエビは硬いだけで甘みはなし。やはり1日2日は寝かせた方がいいのです。折れたズワイガニの足があったので、殻を剥いて口の中にポイ。ねっとりした食感でそこそこ美味しいのだが、カニはやはり火を通した方が美味しい。続いてボタンエビの殻を剥いて口の中にポイ。これは美味しかった。
体が冷えてきたので再びブリッジへ。船頭と話をしていたら「小西さん、昼飯ができました」とお迎えが来ました。昼の味噌汁にはタラがどっさり。まあまあ、美味しゅうございました。午後も少々写真を撮って、自分の仕事は終了。暇なので、出刃包丁で小さなタラの頭を落として箱詰め。小さなタラは商品にならないのでそのまま海中に捨てるのですが、もったいない。だから頭を落として自宅に持ち帰り、さっと干して冷凍しておくのです。
港に帰ってきたのは午後6時。お土産をたくさん貰って帰ってきました。ワタクシは果報者です。
水深は250メーター前後。海底から網を巻き上げ、甲板で網を開く。魚を種類別、サイズ別に仕分けする。いろいろな魚がいて面白い。作業しながらボタンエビをペロリとすることも。
アマエビ。今の時期は腹に卵を抱えている。本当はもっと鮮やかな赤だが、小西は写真ヘタクソなのでこの程度。
タラ。水圧の急激な変化で目ン玉や胃袋が飛び出る。ダダミ〈白子〉を抱えているオスは高く、メスは安い。ちなみにメスはオスの半値以下。産卵後のものは、ミズダラ、ボウダラ、ゲダラとも呼ばれ超安値で取引される。
体調1メーターほどのアブラツノザメ。刺身が定番だが、天ぷら、味噌漬けにして焼いたものも美味しかった。
ズワイガニ。秋田県南部でははタラ場〈タラの漁場〉で獲れるのでタラバガニとも呼ばれていた。上質のものは山陰、北陸などに出荷され、マツバガニ、エチゼンガニとして販売される。